ぼとる

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのぼとるのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ワカンダ国王・ティチャラが思いがけない病気により亡くなってから1年後、各国でヴィブラニウムの採掘・入手活動が行われ始めていた。そんな時、米国の探査班が海底でヴィブラニウム探査機を使用した時、正体不明の青い肌を持つタロカン帝国の部族の襲撃に遭う。その長であり「羽を持つ蛇の神/ククルカン」と呼ばれるネイモアは、地上大国を襲撃する時を伺っていた。その目論みに気づいた王女・シュリはどうするか……

レイトショーで観て参りました。160分越えの長編でしたが、集中してスクリーンに没頭できました。

ティチャラ役のチャドウィック・ボーズマンの訃報をそのまま映画に取り入れて物語る冒頭数分で涙が滲んできました。あのオープニングクレジットはもう……

美麗すぎる自然とバチッとハマった画。これが長丁場でも飽きることなく画面に集中できた最大の要因でした。特に、今回のヴィランであるタロカン帝国は海の王国ということで、上映時間の半分は海中や水中を映していたのですが、太陽に照らされる海を映し出して、海/水の神秘さ且つ美しさを演出すると同時に、海中の不気味さと恐怖、怒りを闇でじんわりと演出していたところが、明暗の差を利用した巧みな画作りだと感じました。

戦闘シーンは言わずもがなですね。ネイモアの格闘スタイルが好きすぎる。高速で空を滑空しながら戦闘機を槍で叩き落とすシーン、爽快です。

家族の喪失から受け入れることができず、前を向くことができないシュリに襲い掛かるタロカン帝国の脅威。この逆境からどうシュリは家族の死から前進することができるのか、というところを本作は見どころにしていると感じました。

しかし、個人的にブラックパンサーの継承を「復讐」という闇を放ちながら完成させて欲しくなかったです。各国との戦争を拒み続けていた兄と母の姿から目を背き、相手による憎悪を抱えたまま神秘的で高尚な黒豹の継承を済ませて「倒しに行くぞ」の出陣の流れはちょっとノらなかったですね。
その闇をなんらかの過程で乗り越えてからの継承、このヒーロー映画の専売特許展開はちゃんと守ってほしい想いがどうしても出てしまいました。そこすっ飛ばしたまま部族率いて戦争仕掛けての「ワカンダ・フォーエバー」の掛け声は、偽りが強い気がしました。
各々の気持ちが錯綜しつつも、強引に全員の気持ちをまとめました風。
そこが本当に残念。

長尺の割にキャラの成長する過程に余裕がないような印象で、個人的にちょっとスッキリしませんでした。

ラスト数秒の儀式シーンの視聴者参加型のような感覚。ティチャラ王と触れ合えたようなあの感覚は秀逸。
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