はるな

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのはるなのレビュー・感想・評価

5.0
ワカンダ国葬2時間50分

ワカンダ王国の抱える巨大な空白、喪失の悲しみをどう乗り越えるかがメインテーマの本作。ティ・チャラ/チャドウィック・ボーズマンが前作で成し遂げた達成(作品内での偉業や現実の社会に良い影響を与えた力)を、残された自分は受け継ぐことが出来るのかという問いが中心に据えられてストーリーが進みます。それが監督ライアン・クーグラーや制作陣にとって、この困難を乗り越えて前を向いて続編を作ることが出来るかという挑戦とも重なり感動的でした。その意味で、本作『ワイルドスピードSKY MISSION』はもちろんですが、それ以上に、2012年のマイケル・ジャクソン『THIS IS IT』を強く想起させる作品だったと思います。
一本の映画としてはストーリーの微妙さが足を引っ張ってる感はあるものの、ラストの追悼モンタージュは感動的でそこまで持っていく流れもやっぱり上手いなと。
この作品を素晴らしいものにしているもう一つの要因が役者陣の熱演です。予算の多寡に関わらずやはり映画は顔(役者)だな、と改めて感じました。主演のレティーシャ・ライトやワカンダのカッタッパことオコエを演じたダナイ・グリラらはもちろんですが、今作はアンジェラ・バセットが最高に良かったと思います。登場シーンから表情や佇まい、仕草の全てでワカンダ王国の女王の威厳がしっかりと体現されていて、説得力を持たせていました。
最近はめっきりMCU疲れ気味ですが、ティ・チャラの追悼映画として作り手がこれを作らないと前に進めないと言うのならファンとしてはしっかりと観に行って応援したいという気持ちはあります。
ただし、続編以降に繋がるMCU要素が若干長く感じるところも多くありMCU疲れも加速してしまいました。展開的にも”命を狙われている若い女性を主人公が匿って保護する”という流れが「またか・・・」という感じで食傷気味。しかもそのキャラクターは後のシリーズの布石でしかないという点もノイズ。
キャラクター/俳優同一視の件であったり、この作品だけの問題では無いですが色々と気になるところも多い映画でした。
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