ベトナム戦争脱走兵の運命的な恋を描いた、ロバート・ワイズ監督、ピーター・フォンダ主演のロードムービー仕立ての恋愛ドラマ。
今作で描かれるパリの街が美しいと教えて頂いてたのでワクワクしながら鑑賞。
モロッコ、パリ、NYとアンリ・ドカエの撮影が冴え渡る。列車から見渡す風景の美しさ、何より夜のパリの美しさったら!
ブルートーンで幻想的に捉えた70年代のパリはオリンピックのそれとは違う。セリフにも登場するけれど“世界一美しい街“だった頃に違いない。
残された8時間をどう過ごすか…
恋愛モノとすれば、ロマンティックで少々擽ったくなるけれど、刹那な美しい恋として、戦争の悲劇として、風景が丸ごと包み込む。
アメリカ映画を思わせない、ふわっとしたフランス映画な雰囲気と、博物館内?でのシャープで現代的なアート感。バランスも良い。
ピーター・フォンダの少年のような笑顔は罪だし女心を揺さぶるポイント。真面目でいて、殺し文句も駆け引きも、狙ってないだろうけど心得てる。
本作が映画デビュー作となったリンゼイ・ワグナーは強くて弱い女心を好演してた。しかも美しい。
どう始めるの?
もう始まってる
はぁ、切ない…
セーヌ川沿いのふたり散歩、
凱旋門に向かって走り出すふたりの後ろ姿
エレベーター内でのふたりの会話
ホテルの廊下でふたりかくれんぼ
そして窓から見える夜のパリ…
美しければ美しいほど切なくなる残されたふたりの時間
はぁ、切ない、切なすぎる
スパッと潔いうえ余韻も残す締め方も好み。
甘過ぎないドライな大人ラブストーリーだった。