常盤貴子が東京国際映画祭で言った「走馬灯を見せられた」という感想以上に言い得た言葉はないと思うが、僕なりに感想を残しておきたい。
大林宣彦の『2001年宇宙の旅』だった。でもキューブリックは行間で表したが、大林監督は世界最高齢のラッパーと化して隙間なく脳内に畳みかけてきた。
前作を超える支離滅裂さなのに前作を超える傑作。これはもう物語とかそんなんじゃない。メッセージだ。おそらくは遺言の下書きなんだ(遺言に点数なんかつけられない)。
新人がとか、常盤貴子がとか、稲垣吾郎がとかではない。他の演者も含め役者の知名度とかは本作にはどうでもいいことだ。全員が大林監督にとって一つ一つの駒だ。その意味では吉田玲(新人)も強力な手駒として、立派に盤上にいた。
作品ありき、の映画だ。それもまだ誰も観たことのなかった、または今後誰にも創ること不可能なもの。きっと、右に習えの人にはなかなか届かないでしょう。一般受けは難しい。でも生涯忘れられぬ金字塔となった観客がアチコチにいるだろう。
たとえば僕にはこんな声がした。しゃがれたあのか細い声が、宇宙から↓
「人類が争いを止めることはできない。それはこの国でもホラご覧の通り、歴史が証明しているでしょ。人類は核爆弾を街のど真ん中に落としたあと、なおも強力な兵器を保有しているゾ。おい日本人よ、特にそこの若い人、そっちへ行くなよ。僕はもういなくなるからいい。でも君らの人生はこれからじゃないか。そっちへ行くな!」