エクストリームマン

海辺の映画館―キネマの玉手箱のエクストリームマンのレビュー・感想・評価

4.2
映画と呼ぶにはあまりに常軌を逸しているが、同時に極めて映画的でもある、大林宣彦最後の作品。

尾道の若者3人が日本の江戸末期からWWⅡに至るまでの日本の“戦争”を映画に入り込んで次々体験していく…という大枠はあるが、まったくその枠に収まらない/収める気がない凄まじい構成。大枠の流れ、そのつながりは理解できるが、ひとつの出来事の中で何故そのような編集になるのか、演出になるのか(どうしたらそんなこと思いつくのか?という意味で)全く理解できない。単に情報を詰め込んでいるわけでもないし、叙情に寄っているわけでもないあのバランスを計算と現場の思いつきで組み上げることは、最早映画製作とは別次元の何かだと思う。この作品をも内包できることが、映画の豊かさである。