このレビューはネタバレを含みます
「」内は100%正確ではないけど、劇中の台詞。
映画はノートとペンを手に観る派です🙋🏻♀️笑
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すごいものを観てしまった。
そして、8/15という今日この日に観れてよかった。
いつのまにか本編に入ってて、
何がどこの本編でいつがどこなのか.
変に予測したりとかして最初は意識的に整理しながら観てたけど、すぐにその世界観とリズムに引き込まれた。
つぎはぎしたみたいな画と、声のズレと、テロップと、台詞のリズム感がすごく独特で、でもアニメを見てるみたいなテンポ感というかコミカルさで全然飽きなかった。
そして昔の人が思う近未来感とか、昭和感、大正浪漫?感、とかもあったりするあのトーンで戦争を扱うのが斬新。
最初は軽い感じに見えちゃうかと思ったけど、観賞後は作品の素晴らしさと同じようにちゃんと戦争という過去の重みも感じた。
私はこの監督のことや他の作品にも全然詳しくないけど、こんなにも純粋な映画への愛と希望と、平和へのまっすぐな強い思いを感じる他の映画をすぐには思いつかない。純粋な思いを形にして届けてくれてそれを感じられるっていうその一連の現象?の美しさに感動してしまった。
純度が高すぎるというか、どストレートに響いてきた。
「嘘から出た誠」
イデア論を唱えるプラトンがこの世のものはすべて虚構かもしれない、みたいなことを言っていて、高校生くらいの時の私は「本物」って何だろうと考えていたことがある。好きな映画や舞台…心打たれてきたものも言ってしまえば作り物で、演技は嘘とも言える。なんかそう思ってしまうのが悲しくて、でも理論的には確かにそうだよなと納得してる自分がいた。
でも、この明るくポップに歌ってくれた「嘘から出た誠」で、心の底からそれが嘘でもいいと思えた。「嘘を心から1人1人が信じたら、未来には実現するかもね」って台詞のお陰で。
それだ!と思った。だから映画が好きなのだ、と改めて自分の映画愛も再確認できたのが本当に嬉しかった。
「映画は最高のタイムマシン」だし、色んな”嘘”を見せてくれる。沢山の「希子(希望)」がいる。希子が傷ついたり、辛かったり、死んじゃったりもするけど、それでもなお「歴史は変えられないけど、未来を平和な歴史に変えることはできる」ということを美しい方法で教えてくれる。
それに
「情報は他人事。映画は自分事になる。」というのがまさに映画の素晴らしいところで、「希子」という人達を通して私たちは受け取るメッセージを自分事として考え、行動を変えたりする。
でも、そんな綺麗なことを言うだけじゃないのもこの映画の好きなところ。
「観客が高みの見物してたら何も変わらない。ハッピーエンドにするのが観客の仕事」
「映画の中のヒロインは愛せるのに、現実のヒロインはうっかり忘れてしまう」
(ヒロイン=希子=希望、と解釈してる)
「戦争と平和も付和雷同」
「映画以上の悲劇と悲しみが、現実にはある」
「味方が味方を殺すのが戦争」
という台詞にある通り、そして全編を通して見せてくる戦争という残酷な歴史が事実としてある通り、現実はそう上手くはいかない。
でも私の中に最後に響いたのは、それでも諦めない!平和と愛を、そしてそれを映画で伝えることを諦めない!というメッセージだった。
「日本人か?」「人だ!」
「敵も味方も人だと認め合えれば平和になるのではないか」
「恋人を自ら手繰る心で、平和を願いなさい」
「愛する人と共にいることが、生きること」
「体は離れてても心は一つ。愛は宇宙規模」
…にあるように、映画の一貫したストーリーである「戦争」という、愛の真逆にあるような人類でもっとも残忍な行為を通して希望を信じたいと思わせてくれた。
それが「映画との約束」だと思うし、自分自身との約束なんだと思う。この映画との出会いに感謝。