おそば屋さんのカツカレー丼

海辺の映画館―キネマの玉手箱のおそば屋さんのカツカレー丼のレビュー・感想・評価

4.6
大林宣彦監督の遺作。大林監督がこの作品に込めた思いはとても3時間に収まるものではなく、それどころか映画という媒体からでさえもはみ出ていたように思う。そこから透けて見えるのは願いと同時に焦りである。

戊辰戦争の鳥羽伏見の戦いから第二次世界対戦への道筋を辿るということがそもそも歴史映画として非常に面白い視点だ。近代国家を目指し始めた日本の最初の戦争であり、その後の世界大戦の端緒となるものだったのかもしれない。

大林監督があるNHKの番組で「戦争映画にはカタルシスはあってはならない」と仰っていたのが印象深い。常に戦前の意識を持ち、平和への希求を持ち続けた人だったのだろう。