わらじ

海辺の映画館―キネマの玉手箱のわらじのレビュー・感想・評価

4.0
もう一番最初から好きなやつだ
HOUSE ハウスの時も思いましたが

映画というのは引用とコラージュによってできている、、って言ったのは誰だっけ
中原中也の詩から多くを引きつつ、江戸から昭和まで、数々の戦争をモチーフに作られた「戦争映画」の中を引っ張り回され転がり落ちながら巡っていく海辺の映画館の最後の一夜!

よってらっしゃいみてらっしゃい、なんて掛け声こそないけれど、弁士に生演奏に便所臭い空間、ラムネとはしゃぐ子どもたち、、、思い出話でしか聞かない昔の映画館の姿をしっかり見させてもらいました

世界の平和のために、というテーマは監督自身が大々的に掲げているけれど、ひとつひとつの、抗議の声や戦争批判、権力と多数派の元におかしな言動を繰り返す人々の姿は、この映画の中の映画、つまり戦争映画の登場人物によって粛々と提示される

決して押し付けない、これがおかしかった、ここが悪、と個々を判断するのではなく、ただただ提示していくそのやり方
それぞれに対して、特に何も思わないのならそれで良い、わからなかったらそれで良い、
でも全部合わせてみたときに、なんとなくだとしても、やっぱり平和が一番だ、という感想は持って帰ってね、
ってそんな事を言われている気がしました
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