千年女優

ハリエットの千年女優のレビュー・感想・評価

ハリエット(2019年製作の映画)
3.0
1800年代中盤のアメリカ。黒人奴隷の両親の下に生まれ育ち、虐待の後遺症から居眠り病を患うミンティ。奴隷主の死に乗じて渋る夫を残して命からがらフィラデルフィアの奴隷解放運動組織である地下鉄道に逃げ込んだ彼女が、ハリエットと名前を変えた後に類まれな行動力を発揮して奴隷解放運動家として台頭する様を描いた伝記映画です。

その功績から尊敬を込めて「黒人のモーゼ」とも呼ばれる実在の伝説的人物であり、その偉業から新貨幣にアフリカ系アメリカ人としては初めて採用される見通しとなったハリエットの生涯を実写化したケイシー・レモンズ監督による作品で、本作でハリエットを演じたシンシア・エリヴォがアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされました。

度重なる南部への潜入で奴隷解放運動を続けた後、1861年に勃発した南北戦争でも活躍を見せた偉人の生涯を描くには、奴隷解放運動にフォーカスはしてはいても2時間は明らかに尺足らずで、実話にも関わらずファンタジー的な脚本に演出と物足りなさはありますが、鬼気迫る熱演と歴史的偉業のパワーでのめり込まさせる、力のある一作です。
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