よしまる

ハリエットのよしまるのネタバレレビュー・内容・結末

ハリエット(2019年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

 実話×黒人差別問題=鉄板ネタ(不謹慎💦)、にもかかわらず本作が凡作にしか見えなかったのは何だろう?

 まさか黒人がこれでもかと痛めつけられる残虐な映画を観たいわけではないが、メリーランドからフィラデルフィアまでの160キロの長い長い道のりを徒歩で歩いてきた割にはすこぶる元気で、その後も簡単に行ったり来たり、さらには遠くカナダまでもを瞬間移動する姿はまるでどこでもドアを駆使するドラえもんのようで、過酷な道中を想像する隙を与えてもらえなかった。つまるところ感情移入の余地がないというか。要所で白人の救世主が都合よく現れるのも萎える。

 それにしても、ディズニープリンセスさながらに愛の歌を(しかも絶対に他人に見つかってはならない静まり返った環境下で)急に歌い出してドラマチックに現れたものの、再会を待ち侘びた夫はめっちゃ微妙な顔してて、実は不倫して子供作ってたって、もう奴隷以上の悲劇で不憫すぎた💧

 まるで凄腕ガンマンのような宣材写真見て、この人がまさか歌い出すと思わないよねw

 白人と武力で闘うよりも、一人でも多くの黒人奴隷を逃亡させることを使命としたことは尊敬する、うん、例えそれが幼い時に頭かち割られて神の声を聞くようになったからだとしてもだ、けれども、いつの間にか南北戦争が始まり、先頭に立ってライフル構えてる姿を見て唖然😰

 結局、神の声が聞こえるという設定がものすごく中途半端な扱いで、事実、劇中でも自ら神の声を後付けで言い聞かせてるような節も見られたしw、ハリエットの強い意志とド根性を裏付ける動機としてはどうにも受け入れにくかった。実話に引きずられたと言うよりは、物語の構造が弱いということか。

 スパイクリーとの仕事で有名なテレンス・ブランチャードのスコアは安定の素晴らしさ、ただ前年の「ブラッククランズマン」が、主人公ロンのテーマを中心に繰り返し印象付けて効果的だったのに対し、今作ではそうしたハリエットのテーマ的な曲がなかったのが残念。そしてゴスペルを散りばめて黒人の抑圧された想いを表現しているのは良かったのだけれど、なぜかちょいちょいミュージカル仕立てになるのがこれまたテンポを悪くしているように感じてしまう。

 個人の感想としては、題材や演者が良くても良作になるとは限らないという典型的な作品だった。面白かった方にはすみません🙇‍♂️