緑青

ハスラーズの緑青のレビュー・感想・評価

ハスラーズ(2019年製作の映画)
4.0
超良かった。
多分彼女らは「あなたと私たちは違う。理解して欲しいなんて思わないし軽々しく言うな」って言うだろうけど、でも心の奥底が共鳴して仕方がなかった。身体ひとつで誰にも頼らず生きてゆくことがどうしてこんなに難しい。そして、人生のきらきらと光る瞬間というのは、どうしてこんなにも尊くて裏切り難いのだろう。

この世は「女性」が生きていくのにはしんどい世界だ。今は。性別にはバイアスがある。少なくとも全体としてみて、ある。経済的・権力的・肉体的に。その中で、どう尊厳を保って生きるか、大袈裟に言うとそんなお話だった。

ニューヨークにも、私の生きる街にも、社会的な正義は確かに存在するけどそれは「他者」だから言えることであって、自分にとって結局意味を持つのは「自分の正義」なのだと思う。それを自ら破ったことを悟ったとき、もしくはその正義が書き換えられたときにやっと「私は間違っていた」と悟る。その時立ち止まれるかどうかは別の問題だけれど。「走っている車に乗っていて、ふとみたら運転席に誰もいない。叫んで必死でハンドルにしがみ付いてブレーキ踏むけど、止まれない。そんな感じ」という台詞、とてもわかる、と思った。彼女が最後あの結論を出したのは、自分が「一線」だと思っていた線を踏み越えたのがわかったからなんだろうな。誰も傷つけないから良いでしょ、痛くも痒くもないひとたちでしょ、って自分の中に立てていた正義を、手折ったことを悟ったからなんだよな。

また、男性に対する態度に関して、決して「楽しんでいる」「悦ばせることが好き」とかではなく「嫌でも目的のためにこなしている」とか「自分自身の矜恃を強く持っている」という撮られ方を徹底されているのがとてもよかった。

あと「あなたがいなかったら人生はこうなってはいなかった」運命のふたり、という関係性にピンと来た人は絶対観てください。

オーシャンズ11期待してアメリカンアニマルズ観たひとみたいになった。オーシャンズ8期待して観てガンガンくらって欲しい。でも少し励まされ方の方向は似てるかもしれない。とにかく観て。日本では2月公開。

(メモです。Río shopping 初Ocine記念。毎週木曜はオリジナル版スペイン語字幕で6€で観られる。観客5人しかいなかった。)