優しいアロエ

ハスラーズの優しいアロエのレビュー・感想・評価

ハスラーズ(2019年製作の映画)
3.5
〈抱くべきは男じゃなくて札束よ〉

 昨今のフェミ映画の潮流に乗った一本であるが、『マネー・ショート 華麗ではない副題』よろしく経済実録をテンポよく暴露するあたり、プロデューサーに就いたアダム・マッケイの影を確かに感じさせる。

 あるいは、その一盛一衰のストーリーや事後的な語り口から、スコセッシを引き合いに出す評論を多く目にする。なるほど、言われてみれば、本作は『グッド・フェローズ』『カジノ』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などと似た作風かもしれない。しかし、これらと比べると本作はどうしても見劣りがし、スコセッシの凄さを改めて知ることとなった。

 見劣りの原因は、キャラクターに魅力が欠けていたことだろうか。主演の丸山桂里奈をはじめ、役者の演技力が物足りなかったというのもあるだろうが、それ以上にキャラクターの言動に人間臭さがなかった。あくまでケイパーモノのスムーズな流れを邪魔しないように配置された、収まりのいいキャラクターばかりのような気がしたのだ。

 スコセッシ作品のデニーロやペシ、ディカプリオなどは、もっと自由に暴れてくれる。スコセッシもポップミュージックを多用し、テンポのよい編集を持ち味とするわけだが、時折その円滑な流れにブレーキをかける。傷つき、それを修復するのに時間がかかる。それは私たちの人生にガクッと落ち込むときがあるのと同じだ。これが共感を呼び、メリハリを生むため、観終わったあと印象的なシーンがたくさん残る。

 本作だってそこそこ楽しめたはずだが、思い返すとなにも残っていないことに気付いてしまった。