このレビューはネタバレを含みます
主人公が死ぬ作品は3作品目かな?最高だった(他二つは、パンズラビリンスと未来世紀ブラジル)。社会性を失った、残虐性を持つもう一人の自分に体を乗っ取られる恐怖に、他人事じゃない怖さを感じた。
これが統合失調症の、少々誇張されたリアルなのかな、話に聞く感じそのままだった。
自分も統失疑い経験者?から「統失ぽいよね」と言われることは度々あったけど…半分全然違うし、半分めっちゃ心当たりある感じする。
私は、この作品のように幻覚は見えない。でも、常に自分の中に確実にもう一人はいる(これ自体は普通かも)。その、もう一人の私に何度も殺されかけている。刃物見たら自分に突き刺さすんじゃないかって、怖くなった。大学2〜3年の頃かな、結構早々に、'自分には自殺するにも他殺するにも実行力はそこまでない'ということがわかっていて、信じ込ませてもいたから、本当に死ぬ可能性は低いけど。でも、気づくまでとても怖い。
自分の人生では、他人を無闇に傷つけるのは全く意味がなく、悲しいこと。'殺し'を何としても避けるのが、一つ人生の目標。そんな根本的な目的に逆らうなんてことは絶対にしたくない→絶対にできない→実行力も持たない…って気づいた。考えすぎ故に、一応有意義な思考ループだったかなって。笑
私たち、病気じゃないよ。誰かに迷惑かけるまでは。
きっと、ノリが良すぎることの副作用なの、どんな感情をどれだけ持ったっていい、誰が何を好きだっていい、全部素晴らしい、何でもあり=アイデンティティが簡単に揺らぐ、
つまり世の中の残虐な思想も自分のものかもしれないと想定できる、できてしまうということ…。
寛容で、穏やかで、子育てとか向いてる人ほど、人を殺す素養も潜在的にあるってことじゃない?
秘めておけばただの穏やかな人、外に出してしまえば犯罪者。本当のサイコパスだったら、そのくらいの線引きして、全部墓場に持っていけるよね?