これはなんとも設定が巧妙な.
絶妙にありそうな非日常な設定は上手い.
しかし話運びはやや安易な気も。。。
なんというか、世の常というべきか.
男はつらいよ、って寅さんも言ってたけどそんな話にもみえた.
この主人公は良くも悪くも他人に用意してもらってるフィールドで戦ってる感じがあって、ある意味普通の人間なのだよなーと思った.
少なくともそんな常人が理解できないほどとか、他人が羨むべきほどの天才ではないようにみえた.
聖人か怪物か、とか言ってたけど、ベストコースを取れなかったら実際にはどうなるんでしょうね.
怪物ではなく凡人止まりなんじゃないかなぁ〜と言う気がした.
(wavesではトントン拍子に転げ落ちていったけど、アレは流石に嘘くさかった.)
ケビンハリソンジュニアは、選ばれしアフリカン・アメリカンみたいな役を2作続けてみているけど、個人的にどうしても凡百な人間の印象しか持てなくて違和感がある.何故ならいつも敷かれたレールを走ろうとしてるから.これじゃあ別にサラリーマンの悲哀と大して変わらないのではなかろうか.
その辺は、毎回毎回つらいつらいってうるさいなぁ!泣き言言うなよ!椅子があるだけいいだろ!って気がしてしまう.
そういう苦悩も描いてるのかもしれないけど、どちらかと言えばこの映画は背景としてマンネリとか停滞とかを描きたいんじゃないかなと言う気がした.
ティムロスが、ナオミワッツに(役名は忘れました)「別にわいら夫婦そんな頑張らんでも、、」的なこと言うんだけどまさしくその辺のムードが今のムードなんだろうな、と思った.
親なり教師なり、どこにもこの主人公にはロールモデルがいない.
この子がアメリカに連れられてきた時のアメリカが目指していた自由と独立、世界のリーダーの国、みたいなビジョンはいつの間にかどこかへ霧散してしまった気もする.
このルースはやたらとお題目的なところを目指すけど、だからなのか、どうにも空疎な気持ちになる.主人公の涙はその空疎さに対する悲哀を物語ってる気がした.
お母ちゃんの言ってることとも時代が違う、先生の言ってるのも欺瞞に映る.
まぁ理想をやろうとすると上手くいかないのは世の常なのだし、そこを面の皮の厚さで乗り切ってなんぼのもんじゃい!とか言ってるのがアメリカのイメージなのだけど、
ちょっとこの先宙ぶらりんですー、という感じに映った.その辺が今っぽいなと.