TMC

hisのTMCのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
4.4
まさかの今泉力哉監督作二週連続公開に、そりゃ嬉しいけどもうちょいバラけさせてくれても、、と思いつつ見てみたら同じ監督とは思えないほど全然違う映画で違う面白さがあって、むしろ「ありがとう。でも、ごめんなさい」映画として二本立てで見たいってなった。
先週の「mellow」もけっこう新境地だなと思ったけどこの作品に比べると今泉節炸裂と言ってもいいぐらい今泉作品。インタビューで、自分は同じ話しか作れない、的な事を言ってたのに、まさかこんな真正面から、オーソドックスにいい映画を作れる人だったとは。大ファンだけどまだ見くびってた。
まず、恋愛群像劇じゃなくて、家族の比重が大きくて、シュールさゼロで笑いどころもほぼなし、主要人物の数と人物配置がだいぶ違うし、地方が舞台で地域社会との関わりがあり、裁判シーンまである。常連のキャストも見当たらず、始まってしばらくはなかなか面白みがわからなかったけど話が進むにつれてそんなことは忘れて、後半はずっと心で泣いてました。なにこの巨匠感。
キャスト全員、本当に素晴らしかった。初めて見た宮沢氷魚は迅そのもので、安定の藤原季節との相性抜群。共に難役を、偽善にも露悪にも堕さない絶妙のバランスで演じ切り、脇では鈴木・根岸のベテランが重しとしていい味を出し、W松本が花を添え、弁護士二人が引き締め、そして何と言っても6歳の娘役がとんでもなかった。いわゆる天才子役的な達者な演技とも違うリアルさで、この子じゃなかったら作品の説得力が半減したのでは。これまで見た映画の中の子供で一番かも。少なくとも邦画では。
ネーミングも相変わらず絶妙。頻発する しゅんくん そらちゃん が耳に心地良く響く。渚は シンドバッド 大島 への目配せだろうか。
ということで本当に嬉しい驚きでした。この二作を経た作品たちが今から楽しみです。