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hisの犬のレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
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それは同性愛がどうとかではなく、2人は数ある"好き"の中の一つにしか過ぎなくて、色眼鏡で見るような感覚は時代錯誤。今泉監督の作品を観ると、特殊な見方ってのはもう古いんだよなって思えるし、世界は多様性に対して少しずつ理解と尊重が根付いてきてるんだと実感する。

絵本の読み聞かせで字よりも絵の方を見入ってしまうシーンはちゃんと子ども目線に立てていて上手いと思ったし、今泉監督がよくやる耳打ち演出の効果あってか役が嘘なく生きているように見えるシーンも多々あった。映画が終わっても物語はこのまま地続きな感じがして、4人の関係性が愛おしくて堪らなくて、なぜだかエンドロールに入ってから更にグッときてしまい目頭が熱くなった。別に主演2人のファンとかでもないのに泣けてしまって仕方なかった。

あと、宮沢氷魚の白い肌に浮かぶピンクの唇と赤い耳が印象的。なにか負い目を感じたり、自分の思いを主張したりする際に真っ赤になってたあの耳は演技では表せないと思うから強いというか凄いというか、泣いたり怒鳴ったりするよりよっぽど誠実な感じがしてとても良いなと思った。
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