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禁断の惑星のLudovicoMedのレビュー・感想・評価

禁断の惑星(1956年製作の映画)
3.6
〈絶対的ユートピアに現出した潜在意識のヒューマンエラーモンスター〉

バイロンハスキン版宇宙戦争などと共に語られたりする50年代のクラシックSF。
SFに夢とロマンが抱かれる以前のキッズ向き荒唐無稽とみなされていた時代の作品だが、『地獄の黙示録』『アドアストラ』系譜のこの世の果てでユートピアを構築し、孤軍君臨する者と接触する物語。

やはり現代人からすると全てがギャグに見えるが、意外や意外とノーランが好物そうな頭脳派SFであった。
見所は人それぞれあるだろうが強烈な印象としてロビーザロボットの描写がおもしろく、当時は斬新な存在感だったろう。
ドラえもん級になんでも出せる夢のメカが皆を楽しませるが、ロボット三原則なる、命令服従、害を加えない、自己防衛というアレに従おうとして、結局矛盾させちゃい動けなくなる。

そしてこれまた意外に地獄の黙示録の様なプロットの中でもかなり深い思想を捉え、SFという空想科学に見事結合している。
一方で、これほど広大なセットや魅力的な舞台設定が用意できているのに、割と会話劇ばかりが物語を推進してたり、起承"転"までが長かったり、まあ色々とガッカリもする。

また、アダムとイブのイブの様な女性が出てきて文明とのカルチャーショックに揺れる楽しいくだりがあり、やがていい感じのヌード感をも堪能できるぞ。
大昔のSFって謎に美女需要が高かったりするしね。

ただ、ジャケットの様な半裸の女をロビーが抱くシーンは残念ながらなかった
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