こたつむり

禁断の惑星のこたつむりのレビュー・感想・評価

禁断の惑星(1956年製作の映画)
4.0
★ ロボット三原則第一条
  ロボットは人間に危害を加えてはならない

想像以上に面白い作品でした。
劇場公開は1956年。今から62年前です。確かに「古い映画」ですが、それを理由に一刀両断で切り捨てるのは勿体ないのです。

勿論、現代と隔世の感を抱くのは事実。
「SFと言えばコレだよ」と言いたくなる効果音。丸みを帯びた独特のフォルムを持つロボット。光学合成を行った特殊効果。アダムスキー型UFOの宇宙船。どれもこれもがレトロです。

しかし、熱を帯びた物語は朽ちません。
「惑星アルテアに向かった移民団の連絡が途絶えたので、安否を確認するために調査団が編成された…」という序盤は定番中の定番。いつの時代でも変わらずにワクワクできるのです。

しかも、そのあとは現代科学に警鐘を鳴らしつつ、大胆な発想で描く展開。知的興奮は収まらず、ドーパミンは垂れ流し。うひょう!盛り上がるぅ。

何よりも人間の感情を大切にしていますからね。SFは“空想科学”を描くことが目的ですが、そこに普遍的な感情を組み合わせるからこそ、物語が新鮮長持ちツヤツヤになるわけで。愛や嫉妬、欲望はいつの時代も切り離せないのです。

特にアン・フランシスが演じた《アルティラ》の魅力は風化しませんよ。ミニスカートからちらりほらりと見え隠れする太股の破壊力はデススター並。けしからん話ですな。もっとやれ。

また、本作に登場するロボット《ロビー》。
本作以降のSFに大きな影響を及ぼした…という評も納得の存在感。パッケージで《アルティラ》を抱えている画はそれを顕著に示していますよね。

まあ、そんなわけで。
今でも燦然と輝くSF映画の巨頭。
やはり、技術に制約があるからこそ、SFのキモである想像力が際立つのでしょう。そして、その想像力が熱を生むのですな。

それに考えてみれば、容易に過去の映画を楽しめるDVDはある意味でタイムマシン。60年以上前の熱にトキメクなんて…とても素敵な話ですよね。
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