1979年に韓国のパク・チョンヒ大統領が、大統領直属の機関、韓国中央情報部(KCIA)の部長に暗殺された、実際の事件を基にしたサスペンス。
歴史の闇に埋もれた事件をしっかり描き切る韓国映画にまたしても驚きを隠せない作品だった。同時に韓国だから創り得る作品とも。
じめっとした雰囲気が韓国らしさと認識してた分、意表をつかれたのは映像のクールさ。一瞬 韓国映画である事を忘れるくらい重厚感すら漂う映像だった。
事件自体の知識は勿論ゼロ故に背景とか、事件に至るまでの経緯が解り辛かったのは残念なところ。イ・ビョンホン演じるキム部長が次期首相候補だったと知ると描き方には更なる違和感すら感じる。
とは言えヤクザ社会のような、忖度ありきのあのフレーズには嫌悪感と共にとんでもない恐ろしさを感じる。究極に悪意すら感じる負のパワーワードとして印象に残った。
また、今作のように生死に直結する闇とまでは行かないにしても、派閥による権力争いが蠢く(であろう)日本にも少なからず共通する構図は確かにあるだろうとも想像する。
権力を手に入れると言うことは同時に人間性を失う事または麻痺させる事でもあるならば何とも皮肉…
個人的に欲を言えば、大きく脚色してでも目的を明確にして、もう一歩振り切って描いて欲しかったなぁ…