YukiHomma

シン・ウルトラマンのYukiHommaのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.0
オタクこそ、愛こそが地球を救う。

公開を機にオリジナル版のDVDを引っ張り出して約15年ぐらいぶりに復習してから臨んだ訳だが、これでもかとオリジナルへの愛に溢れた作品だった。“脚本・庵野秀明”という字面が映像にもたらす影響とパワーを改めて思い知らされた。年齢的に親父が『ウルトラマン』のド世代であり膨大な数のDVDコレクションの中に当然『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』が飾られていた。それを当時5~6歳の俺が自分でDVDをプレイヤーにセットして前のめりにテレビに釘付けになっていたあの頃に戻らせてくれる映画であったし確かにあの2時間、俺は小学生に戻っていた。だから冷静な評価は出来てないし俺の中の5歳児が評価している。
ちなみに当時の『ウルトラマン』のDVD には1枚のディスクに4エピソードしか入っていない。そのくせ1枚3800円+税。それが×10枚。コスパ悪すぎる。

オリジナルへのオマージュ、小ネタ、キャラクターの仕草(それらの映し方だったり新解釈に落とし込むセンスは凄まじく、やはり庵野秀明といった“オタク”という文化の重要性を感じた)などは1回見ただけでは拾いきれないほど感じる一方、今作が初めてのウルトラマンという人には全体的にやや薄味に思えてしまうかもしれない。そういった層には“災害”に対応する日本政府と一般市民を主人公とした『シン・ゴジラ』の方が楽しめそうなのは確か。
偉大な音楽とSEの数々は、流れるだけで幼少期にインプットされた記憶が再び騒ぎ出し体中を駆け巡っていくのを感じ鳥肌が止まらなかった。
内容に関してはオリジナル版のエピソードをいくつか繋げたような内容だったけど、もう少し映画だから出来る要素に時間を割いても良かったような気もする。時代的にこの描写は大丈夫なのかとかその他もろもろツッコミどころはあるけどそれすら愛の前では全て許せる。だって樋口真嗣と庵野秀明なんだから。全体的に良い意味での昭和感を今風にアップデートしていたがその部分だけ悪い意味で昭和感が残ってしまっているような気がしたし別に無くてもよかったんじゃないかとは思う。
終わり方に関してもオリジナル版の様などこか切ない余韻を彷彿とさせ最後までオタクによるオタクへ向けたオタク映画だった。
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