Maki

シン・ウルトラマンのMakiのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.6
公開:2022年
鑑賞:劇場

庵野秀明は好きだがウルトラマン無知だし樋口真嗣監督だし期待しすぎないように。前日に初代「18話(ザラブ星人)」「33話(メフィラス星人)」だけ予習して臨んだ。

知と愛の足りなさかオマージュへの悦びはない。設定・構想はよくても表現・結果が伴っていない印象。そんなにウルトラマンが好きだったのはわかるが、ほんとにコレでよかったのか庵野秀明。


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ここからネタバレ

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🖤苦手なところです
・好い意味での驚きがない。前日予習で観た「誘拐されたハヤタを発見したのに自然に見捨てるムラマツ」のほうがびっくりしたよ

・神永(演:斎藤工)、演技は巧いし、逃げ遅れた子を助けて命を落とした性質がウルトラマンに影響したのはわかる。だったらその融合シーンもしっかり描いてほしい。本編の神永はただの「器」で意思や感情が読めない

・浅見(演:長澤まさみ)はバディ、バディと繰り返すが、まるでバディ感がない。神永とのキスシーンも撮影してカットしたとか、それ正解

・禍特対がエキスパートに見えない。過去の禍威獣退治で活躍したらしいが本作では右往左往か不平不満ばかり。田村班長(演:西島秀俊)はかっこいいだけ。滝(演:有岡大貴)と船縁(演:早見あかり)も役立たずで棒読み

・最終兵器ゼットン。太陽系を消滅させる破壊力を持ってても衛星軌道上に浮いてるだけじゃスケール感、絶望感が薄い。宇宙に現れた脅威なら地上に襲来しないとダメでしょ。CGとCGが戦って終わり。人類が怯えたり祷る姿もないのでウルトラマンが挑んで敗れるエモーショナルも伝わらず

・人類諦め早ッ。ウルトラマンからベータシステムと作戦を伝授されるまでやる気ゼロ。そこから人類の叡智を結集するのも滝のVRソロプレイしか映らず何が何だか。結果、ウルトラマンと人類が協力してゼットンを撃破する醍醐味もない。ヤシマ作戦、ヤシオリ作戦のカタルシスはどこに

・「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」
驚いたの山ちゃん(ゾーフィ)だけじゃなくて。単独行動ばかりでいつそんなに人間を好きになったん? それに任務失敗したゾーフィも何のんきな事いってんの。ゾフィーの名セリフをゾーフィに云わせたことで意味が変わって台無し

・画質やCGがときどきチープ、iPhone?旧作オマージュか予算不足かクオリティコントロール失敗か、せっかく大画面なのに

・長澤まさみへの異様な執着。ローアングル、お尻スパンキング(セルフと神永と船縁に)、巨大催眠タイトスカート分析官、シャワー浴びてない発言させて体臭クンカクンカ… 必然性もなく今時これかと

・などなど不足や不備に見えても、絶賛・感涙の声も多いから「ウルトラマンの作法・流儀としては正解」なのかな。私が招かれざる客、お呼びでないだけなのかも

🖤好きなところです
・ウルトラマンや外星人のデザインは美しい。スペシウム光線の所作、変身の演出、赤から緑からグレーの変化もユニーク

・『シン・ゴジラ』彷彿シーン。政府の俳優がかぶってて、同じ世界線かとドキドキ、別人らしいが竹野内豊まで登場して笑った

・外星人メフィラス(演:山本耕史)は面白い、本作の収穫。「郷に入っては郷に従え」私の好きな言葉です。彼なりに人類への不気味な愛情や飼育欲をもっていて、発言や所作でほかのキャラクターを喰っちゃってる。ブランコや居酒屋で神永と語り合う姿はメトロン星人ぽさも。互角以上にウルトラマンを苦しめながら自ら去るのも初代踏襲(理由はゾーフィが来ちゃったから)。山本耕史メフィラスのスピンオフは観たいな、星々を旅してまわるダークヒーローものとか
 
・ウルトラマンと外星人ザラブの行いから、全宇宙に「地球人は催眠巨大生物兵器化できる」と知れ渡り、ゾーフィが「地球人は危険だから破棄だ」と訪問する滅茶苦茶な話は嫌いじゃない。ゼットンが光の星の粛清兵器なのも意外性あってよい

🖤追記
ある方のご厚意に預かり庵野秀明インタビューを読んだら莫迦みたいだけど涙がこぼれた。諸般の事情で断念ばかり。作品への違和感は消えずともその苦闘には敬意を表します。

今まで彼の発言や記事はたくさん読んできたが、世間で「庵野が好き放題やりやがって」と云われるほど実際そうでもない。『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』でもそれがわかった。幼い頃から愛してやまないウルトラマンを手掛ける機会を得たのに、出来栄えに喜びのないまま送り出したのかな、そう想えてなんだかもう。