残念ながらウルトラマン世代ではないので、ノスタルジックみを感じるのではなく、完全に新規顧客として挑んだ。
こうしたCG技術はアメリカに勝てないと踏んだのか、昔からウルトラマンに対する崇拝があったからか、おそらく両者だとは思うが庵野さんが手がける特撮映画はいい感じに雑なところがむしろ良く、とても素敵だった。
個人的には有岡くんの演技がとても良くて、知的生物からみたホモサピエンスがどんなにちっぽけかを日本を誇るサイエンティストであっても味合わなければならない屈辱を知ったあの夜の日から、彼の葛藤や絶望、諦めがしぐさ、目、声に全て如実に現れていた。また、はるかに逸脱した“知的”外来生物は瞬時に状況を理解し、あっけないほど降参したりと一切の感情がない。例え敵であろうと常に冷静で、怒りや憎しみさえも見せない。そんな中、人間たるものがいかに感情的であるかが彼を通して垣間見えた。希望を持つこと、それは人間の小さな足掻きだが、人間と調和したウルトラマンにも派生し、結果として世界を救う。
『シンゴジラ』の時もそうだったけど、内政、外政、日本を支える者達の目線で描かれる神出鬼没な禍威獣（カイジュウ）に対する戦い方は、どこか現実世界と引き離せない、監督の強いメッセージを感じる。
一方でウルトラマンが人1人でも救いたいという気持ちがあるのに対し、明かりがついている高層ビルに向かって敵を投げつけるシーンは違和でしかなかった。
