コレは庵野秀明の遊びに徹底した作品と言っていい。
全編にギュウギュウと詰め込まれた数々の元ネタを知らなければ、楽しめないのではないだろうか。
ボクは、冒頭の「ウルトラQ」のタイトルを模した「シン・ゴジラ」の文字が破け「シン・ウルトラマン」のタイトルが表示された直後に、トンネルの中の大きな目玉を見た瞬間、「ああ、ゴメスか！」と分かるし、その後次々登場する怪獣(本作では禍威獣)も、フォルムを見た瞬間に名前が浮かぶ。ただし、カイゲルだけは元の名はゴーガであり、何かの事情で変更しなければならなかったのだろう。
パゴスとネロンガとガボラが同種の禍威獣である設定は、「ウルトラQ」で登場させたパゴスの着ぐるみを、製作費節約の為「ウルトラマン」におけるネロンガに流用し、更にガボラへも流用したという裏話を、庵野秀明が面白がって応用している事にも気づける。
ウルトラマンの顔が、最初はタイプAで、斎藤工と合体してからはタイプCに変更してるのにもニヤリとしてしまう。
全編に流れる宮内國郎の音楽にも「コレでこそウルトラマン」と感じる程のファンじゃないと、この映画は楽しめないし、チャチに見えるCGをわざわざ使っている理由も分からないはずだ。
そういう点では、本作は万人向けの映画としては成立していない。
単に映画としての評価をするなら★3つがいいところだ。
だからこそ、コアなファンとしては、あえて高評価を付けたい。
追記。
いんそむにあ様から「カイゲルの名は、ゴーガ登場回における没脚本の土台であるサンプルストーリーからの引用」とお教え頂きました。
