マクガフィン

乱反射のマクガフィンのレビュー・感想・評価

乱反射(2018年製作の映画)
2.8
小さい負の連鎖が、不幸な事件に波及する切り口は興味深いし、人間のエゴや身勝手さや、自己保身の為の責任転嫁を丁寧に積み重ねて独自のテイストを構築することは巧みに。強風で街路樹が悲鳴を上げているような心象風景と音にハッとさせられる。TVドラマ版は未鑑賞。

息子を失った喪失から、ヘラヘラ笑っていた主人公が、職権乱用しながらクレーマーに変貌するこのだが、医者に対しての行いは完全に傷害罪だし、クレーマーの範疇を超え過ぎて共感が持てない。更に、開放に向かう切っ掛けも弱すぎて、何が何だか。提起したい問題は分かるが、外側のテイストと人間の情念が渦巻く内面との融和がとれないので内容の薄さが強調され、仏作って魂入れずに。