白瀬青

1917 命をかけた伝令の白瀬青のネタバレレビュー・内容・結末

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

臨場感にあふれた映画だ。でも不謹慎な感想だが、ゲームのような臨場感だった。しかもアレだ。自分視点で戦場にいながら、FPSとかではない。マリオとかサスケとかだ!
ダンケルク推しの人にいいとは言われたけど、エンタメでもなくヒロイズムでも悲劇でもないが、ダンケルク系とは意外と全然違うタイプの臨場感と無常感でした(どちらも好き)。戦場にいれば生きるか死ぬかはその人の能力を超えた運でしかないという面では似ている。劇場で観てよかった。

ところで1917って名もなき兵士にしては強すぎるし強運すぎると思いませんか。
なぜ戦争に巻き込まれたのかわからないひとりの兵士くんには、その日が人生で一番生死を賭けた英雄な一日だったので、あんな俺強ぇ的なシーンが挟まるのだろうと思うとほほえましくもある。1917は何か判らないが生き残った兵士による、ああ生きてた良かった今日はなぜかいろいろ美しく見えるよというキラキラ補正の入って見えた世界なのだ。
しかし伝令を受けたお偉いさんにとってはいつもこういう思いつき作戦を運んでくるたび「はーなんかまた来たいきあたりばったり作戦変更! もうやだこんなのばっかり!」でしかないし、今まで作戦変更を運んできた同じような兵士達のほとんどは死んで届かないのだ。で、今までにお上の気軽な作戦で振り回されておつかいに出された兵士が道中さらっと転がってる遺体達ですよ。
あーもーお上の気まぐれやーーだーーー(今の時期だからますます湧き上がる謎の共感と圧倒的所業無常)と転がりたい描写!!
そういう意味で、ゲームのような爽快感はありながらそこには立ちたくないという抑制は効いている。

ところで細かな考証の行き届いた塹壕は数キロに及ぶ塹壕を実際に手作りした物理セットだそう。塹壕マニアの方は是非。
白瀬青

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