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1917 命をかけた伝令のpurity7のレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
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2020年ベスト10

とかなんとか聞かれてもないのに考える、この年の瀬。いつもFilmarksの投稿一覧を見て考えるんですけど、今年は観たのに投稿してない作品が多い。1917は2回観るつもりだったんでそれから書こうと思ってたんですけど、2回目はまさに

「映画館なんて大衆空間に行く事が悪」

って風潮のピークの時に行きましたので、気力が湧かなかったんだろうな。

でも、この作品が今年のマイベスト3に入るのは間違いないです。どこからが監督でどこからが撮影監督で、どこからが編集の裁量なのかわかりませんが、映像が細やかに雄弁な所が自分の中ではとても斬新でした。

中でも撮影チームが凄かったなぁ。

穏やかな木陰から塹壕、最前線、無人地帯、ドイツの塹壕へと目まぐるしく状況が変わる冒頭からのシーンは、作り手の熱量がやばい。言葉じゃなく映像で語ることに徹してるのがめちゃくちゃ好み。

基本的には後ろから追ってるんだけど、時には先行してスコ目線になったり、クレーターの縁を進むシーンでは不意に彼らから離れてその大きさを表したり。

わかりやすくカットが分かれてる所もあるんですけど、ワンカットは長くても9分ほどと知ってさらに驚きです。

物事の中心は一人の男性が胸にひそませた、たった一言の言葉に対する心情なんですよね。意外と淡々としたお話なんだけど、途中のイベントの起伏がゲームを体験してるかのようで、今っぽい。
(実際、監督は子供がプレイしていたゲームからヒントを得ているとどこかで読みました)


それにしてもディーン=チャールズ・チャップマン渾身の顔色演技。あそこ、特殊効果つけてないとか嘘ですよね?そんなことできるの?カセットテープ・ダイヤリーズも良かったけど、がっつり主役の作品観たいなぁ!

ビジュアル面ではマーク・ストロング一強。軍服です。ひゃー。コリンとかカンバーバッチも上官役でしたけどスミス大尉が一番麗しかった!

そして、とにもかくにもジョージ・マッケイ。中盤まではいまいち感情移入できなかったんですけど、照明弾で不謹慎にも美しく照らされるエクーストを爆走したあたりから、心を鷲掴みにされました。桜の花びらで奮い立ち、「I Am A Poor Wayfaring Stranger」で命の儚さに脱力し、はるか遠い300メートル先にたどり着くために塹壕を飛び出て前線を疾走する。全ての表情、仕草が素晴らしかったです。

またエキスポIMAXでリバイバルする事があれば、必ず行きたいと思える大切な作品に出会えて良かった。

109エキスポIMAX

20.3.18 109エキスポIMAX
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