ワンシーンワンカット方式...
勿論擬似ワンカットは凄いことであり、そのなりの臨場感はあるが、正直ワンカットにとらわれ過ぎでは？と感じてしまった。
全編拘った絵作りが、逆にワンカットの流動性を殺しているというか、ここまでくるとかえってワンカットが見ている側のノイズになる。「どうやって撮影したんだろう」「ここが編集点かな」など余計なことが気になり出し、没入感が削がれる。
更に戦争の壮絶さをも掻き消しているように感じた。
ゴア表現も控えめで、ファンタジー映画のような印象を受ける。
アクション映画の演出としてのワンカットは、一点集中型でインパクトがあるが、全編ワンカット風となると話は別。
緊張感のメリハリがないのが致命的。
前後の繋がりも重要となる為、現実的な問題としてスケールの大きなアクションができなくなる。元々主人公が連絡係で、映像的な迫力を期待できない部分もあるが、戦争映画としての見応えに欠ける。
酔いを防ぐ為に、手ブレでの演出もできない。
カメラワークは主人公を追いかけるか、周りを回るかでワンパターン。
カメラワークが制限されることで、画面に映らないものへの恐怖もあるが、これは予告で見せ場が切り抜かれていて、ある程度展開が読めてしまった。
人間ドラマは移動シーンをカットできないお陰で、しっかりとした会話も回想シーンも入れられない。感情移入できない。
そもそもこの2人だけで伝令を届ける必然性が感じられない。
それこそ最後の疾走シーンは良かったが、ワンカットで表現される戦争の壮絶さや、緊張感を期待していたので、肩透かしを食らった。
美しい戦場は求めてない。
ロジャー・ディーキンス映画…
