「命の限り 急ぐんだ」
軍部から前線攻撃中止の指令伝達の命令により1600人の命を救うべく戦場を駆け抜ける若き兵士達。友の死から命令が使命へと変わった時、物語は戦地と同じく佳境に突入し死線の上を最前線へと走りだす。
全編ワンカット(風)映像による圧倒的な戦争前線の緊迫感・没入感は半端ない仕上がりだが、それゆえに物語・ドラマ性の広がりが少ない、。しかし、静寂と砲撃、秒単位で変わる生死の境界、折り重なる死体に新しい生命の無垢さ、血と乳など、凄惨と詩的な視覚の対比が多く、人だけでなく描写による言葉にならない繊細な奥行きを想像させる物語を付加させることで補い、まるで側に自分が立っているような構図と画角が相まってスクリーンに惹きつけられる。
劇場が戦地に変わる、。
監督サム・メンデス、撮影ロジャー・ディーキンスのアカデミー監督賞・撮影賞の受賞経験のある巨匠とスタッフ達による高度で緻密に計算され尽くしたスケールが桁違いのこの映画は確かにスクリーンで観ることで、監督が表現したかった祖父から伝え聞いた"戦争体験"のより多くを感じることが出来る作品だと思います。
ただ詩的な表現は映画ゆえに必要でもあり、それゆえに凄惨と悲惨さを弱めてしまうことにもなります。より戦争の惨さを描くのであればそこをもう少し振り切っていれば、、とも考えてしまいます。そのバランスは難しいところですね、、。
しかし、戦闘機が墜落してきたり、夜のエクーストの廃墟を照明弾が降り注ぎ、銃弾が飛び交う中を疾走したりと、どうやって撮影したのよコレ⁉︎
2020年オスカー、納得の撮影賞ですね!
(音響賞、視覚効果賞も受賞)
・通常2DとIMAXで早くも2回観ました、。
(初回) 通常スクリーン 4.0
(2回目)IMAXスクリーン 4.1