10円様

1917 命をかけた伝令の10円様のレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.9
これ本当に凄い!どうやって撮影してるんでしょう!ワンカット風の作品ってのは今や珍しくないのですが、大体10秒〜20秒のシークエンスを自然な形になるよう編集してるのだそうですが、今作の場合屋外が舞台の主なんで数分のワンカットが多いみたいです。これは役者も監督も相当なプレッシャーですよね。そして全てを違和感なく見せてくれたのはやっぱり撮影者のロジャーディーキンスなのでしょう。また編集者のリースミスもかなりの功績があるのでは?

凄いのはワンカット風だけでありません。この戦争映画、銃撃戦があるとか砲弾が飛ぶとかはあまりないのですが、戦場のリアルさってのが伝わってくるんですよね。戦場のリアルなんて私どもは知る由もないんですが、兵士や馬や牛の死体がそこら中に横たわっていたり、それにカラスや蝿がたかっていたり、水は汚いし土の中から腐乱死体が出てくるし、水死体は膨張してぷかぷか浮かんでいるし…前線では精神が狂った上官がいるし。きっと戦場ってこんな悲惨なものなんだろうって思えました。

こんな平和な時代に生まれてよかった…

静かな緊張感も良く出ていました。廃墟と化した街かの狙撃兵の銃撃。どこから狙ってくるか分からない恐怖や、暗闇の向こうにいる人影。敵が味方か分からなく警戒している時に急に襲ってくるという…主人公よく生きて伝令を届けてくれたな。普通ならどこかで諦めてしまうか死んでしまうものなんだけど…

パラサイトと双璧を成した今作のアカデミー作品。全体の雰囲気はプライベートライアンとかハクソーリッジよりは、ダンケルクに近いかな。こういう実験的映画を大衆映画の域にまでもってこれたサムメンデスもさすがです。本当に超一流のスタッフが揃ってこそ出来上がるものなんですね。
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