1カットで撮ったというだけあり、撮影は本当に素晴らしかったです。ずっとカメラが追いかけていたのでまるでドキュメンタリーを見ているかの様な感覚があり、リアリティという意味では全映画の中でも有数の高レベルであったと思います。
同じくセットデザインも素晴らしかったです。ずっとカメラが追いかけているのに洞窟や草原など思ったよりいろんな場所がありました。そして、それらがまったくもって偽物に見えなかったので、どのように用意したのかはわかりませんがそれを作っただけでも衝撃的と言っていいでしょう。セットと言えば、死体やドロやネズミなど汚い物をちゃんと用意したのも驚きでした。そういう意味や戦場の汚れなども含めて、まさに地獄を追体験させられるような映画だったと思います。
衝撃的なレベルであった上記2つに比べると少し劣るかもしれませんが、演技もかなり良かったです。細かい感情の変化や不快感や焦りや恐怖を表情だけで読み取れるようになっていて、ミスったら最初からなのにそんな細部にまでこだわるということに関心しました。彼らのバックストーリーの紹介もあり、それを通すことでより地獄の苦しみを体感させられていたと思います。
ほんの少し、それも仕方ないと言えば仕方ないのですが、唯一嫌いだった部分を上げるとしたら、画面が暗すぎて2人の主要人物の見分けがつきにくくてこんがらがる時がありました。ですが、そこまで個人が重要な映画ではないので他の映画でしたらわざわざ上げないくらいの問題点です。
戦場では様々なことが伏線もなく急に起こるのだということ、そして死体が当たり前のようにあるのだということなど様々な知りたくもない現実を叩きつけてくる本当に地獄のような映画ですが、それをここまでのリアリティの高さで再現した映画は他にないと思います。正直、今まで見た映画の中で一番悪夢のような作品かもしれません。