臨場感。DolbyAtmosだったからと言うのもあるのだろうけど、撮影技術が光っていた。十数キロ離れた味方の元へ敵の罠の存在を伝える命令書を届けるただそれだけの話なのに息遣いとか緊張感が伝わってきて、ハラハラドキドキの連続。わざとカット割りを少なくしていて、自分が存在しないはずの三人目の伝令兵として一緒に走っているかのような自然な目線を与えてくれた。
主人公の気絶の瞬間ブラックアウトしたり、廃墟に敵が潜んでいないか探しているとき、何もないところに視線が止まる。そんな丁寧な感覚の表現がリアリティを生んでいるのだろう。
巨大な戦場のセットは圧巻だが逆に言えばセットだとわかる作り物感は否めない。それさえも大自然との対比を強く補強している気がする。
友を失っても縦断の中必死に走って伝えた戦闘の中止命令も大戦の趨勢を左右するものではなく翌週には新たな先頭が始まる。簡単に人が死に。、至る所に死体が放置されている。しかし、前線少し離れると長閑な広野が広がり、全てを包み込むかのような森がある。
人間が至極小さな存在のように思えてくる。悲惨な大戦も大自然の片隅で、取るに足らないちっぽけな存在同士で争っている。
そんな無常感があった。
ほんとにただ走ってるの観てるだけなのにいろいろ考えさせられた