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1917 命をかけた伝令のhikarouchのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.2
撮影もヤバいが音響もエグい。鑑賞中なんどビクついたかわからない。

映像は特に夜のシーンの美しさに息を呑んだ。逆光の美学というか、背景だけが明るくなって、人物がシルエットで浮かび上がる。

お話としては究極的にシンプル。この、制限時間内に様々な障害を乗り越えてゴールを目指すのって何かに似てるなと思ったら、SASUKEだった。SASUKE@西部戦線。

映画の系譜的にはダンケルクとかグラビティに似てる。起こっていること自体は歴史的な大事件でも、描かれるのはそのほんの一部としての、でも実にドラマチックな個人の物語。決してそこから視点が俯瞰に移ることはない。

またストーリーテリングの妙も見逃せない。誰が主人公かを如実に示すオープニングカットに始まり、自身では決して語ろうとしない主人公の背景や想いが、ラストにかけてじわじわと滲み出てくる巧みさ。また手紙やネズミや桜などを使った純映画的な演出の見事さ。そしてきちんと始まりと終わりで対の構図で締めくくる。

言うなれば、めちゃくちゃアカデミー賞に愛されそうな映画!(そういえばこの映画にも半地下の家族が出てきます。)

この絵画みたいにキレイな顔した主役のジョージ・マッケイくんは、キャプテンファンタスティックの長男役の俳優なんですね。イケメンというのとは違うけど、彼の"良い顔"が際立つ作品でもあった。

あの兄弟がゲームオブスローンのアイツとアイツで、妙に胸が熱くなったのは、完全なる余談。
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