はまたに

1917 命をかけた伝令のはまたにのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.4
ぬかるみに取られた足は演技ではあるまい。不意に滴る鼻水も演技ではあるまい。思わず吃った一言も演技ではあるまい。そうした不確実性を戦場の息吹、リアリズムとして取り込まんがための超長回し……かと思いきや、どっこいぜんぜん違ってた。というか、めちゃくそ計算されていた。

足は滑らねーわ、不意の顔汁も出ないわセリフはキッチリ完璧だわで、カメラに収めるべき空気、伝えるべき緊迫はもとより緻密に結われていたんだなという印象。それだけに、やってのけたあんたらすげーよ、ってなる。監督も役者もカメラマンもすごい。だけど、「不確実性がもたらす映画からはみ出した何か」も観てみたかったな。

ストーリーはシンプルで好きです。ただ、「道中は車で大幅カット」があったぶん、旅路の冒頭とラストにだけドラマがあったように感じてしまった。時間の感覚を忘れさせてくれる没入感はあるんだから、もっといろいろ仕掛けを作ってくれてよかったかも。自分としては、この作品が2時間から2時間半になったとしてもさして気にならなかったと思う(制作が大変そうだけど)。

なんか文句のが多くなっちゃったな。

まあ、あーだこーだ言うてますけど、最初から最後まで緊張感の持続する力作であったのは間違いないと思うので、IMAXで観て正解だったと思います。『ダンケルク』よりはこっちの方が好きでした!
(突如奇襲のようにdisられるノーランに幸あれ)
はまたに

はまたに