TERUTERU

1917 命をかけた伝令のTERUTERUのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.5
 この作品は勝利や負けなどはない、

   『守り、生き抜く』

   という作品なのだと。
 

 戦争に美しさはない、憎しみのぶつかり合いが生じた死体の山。そこら中に散らばる薬莢。そして戦場にあった家や建物は火がつき崩れ落ち、動物は人間の都合により殺傷され、地形は爆撃の影響でえぐれてしまい以前の自然や人が住んでいた場所の原型をとどめていない。こんなものに美しさなんてない。「地獄」そのものであると。

 だがこの作品では違った。ワンカット撮影という難易度の高い技術は大変素晴らしい出来栄え。だがそれだけではない物語が展開する舞台、そうこの戦場だ。すべてがリアルに再現された舞台。きっと再現したくない物もあっただろう。特に劇中に何度も見かけた「塹壕」は一から作り上げたのは驚かされた。昔使われていたものを使っていたんだと勘違いするほどの出来栄えであった。
 そして何より芸術的な背景シーンだ。戦争でもありながらどのシーンも額縁に飾れるぐらい美しい光景、ずっと眺めていたいと思えるほど美術面は輝いていた。

 最近見た映画の中で、戦争が目の前で起きている臨場感最も感じさせられた作品であった。リアルを追求することにより戦争の恐ろしさに悲しさ、辛さを感じた。命は儚く一瞬で失っていくのがわかりやすく表現されていて、自分の命を守るのは自分でしか守れない惨い世界なのだと『戦争』という意味を知った。

 
 たとえ美しいシーンでも二度と現実に生み出してはいけない光景なのだと。。。


2020/No.010-011
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