ワンシーン・ワンカット風の構成は、ホラー映画のような緊張と緩和の演出で、一寸先が闇な戦場の臨場感が凄く、ワンカットならではの没入感とリアルさに。緻密に計算した構図や構成や、カメラワークの凄さに感心しきりに。
ネズミやハエや花びらが舞ったりすることが、構図的にアクセントにもなり、臭いを加味することにも。背景のエキストラが緻密に動いて画面が停滞しなかったり、対象物で距離感を演出して、狭いシュチュエーションが多い中に奥行があったりすることが巧みに。これまでのワンカット作品は、人物のアップや手ブレ映像が多いのが苦手だったが、その辺の問題を難なくクリアしていることにも感心する。
ミッション系タイムリミットの任務を、命とモチベーションのリレー形式のことも深みを感じることに。様々なことを背負って、見つめる先の眼差しの強さが印象的で、家族や友達を一瞬にして失う戦争の悲劇が何とも言えない。只、ワンカット故か、辿り着く距離が意外と近くに感じる違和感も。その距離感が時間経緯の違和感に繋がり、一日の出来事に纏めた上手さは感じられない。
トータル的には素晴らしい出来栄えだが、ワンカットや対ドイツ戦争映画ならではの、アメリカのみの視点に違和感もあり、戦争をドラマ仕立てにすることで、テイストに若干のブレも感じることに。
