NAO141

1917 命をかけた伝令のNAO141のレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.5
またまた凄い作品に出会ってしまった!
第一次世界大戦に投入された2人の若きイギリス兵のある1日を全編ワンカットに見えるように密着して追い掛ける。
凄まじいまでの緊張感と臨場感!!
自分がまるで3人目の兵士として伝令に向かうかのような感覚だった。
この作品は「戦争」を知るというよりも「戦場」を知るという表現がピッタリ。
メンデス監督が祖父のアルフレッドから聞いたエピソードを多数用いているため(大戦中、アルフレッドはイギリス軍で西部戦線の伝令を務めていた)、非常にリアルに感じることが出来る作品。

冒頭、牧歌的な雰囲気で始まるがすぐ近くには緊迫した戦場がある。
そして最初は友と共に戦場に出たのに、伝令の役目を終えた時には友はすでに死んでこの世にはいない。
冒頭とラストが同じような牧歌的雰囲気で描かれているのが印象的だが、昨日まで一緒にいた友がいなくなってしまったこと、死んだのは自分かもしれないのに今日も自分は生きている、だからこそ今日もこうして家族の写真を見ることが出来ている、ラストは戦場に投入された兵士の過酷さや目的を終えた達成感、生きていることへの安堵感、友を失った悲壮感、戦争そのものの虚無感など様々なことを感じることが出来る。
ラストがとても美しく、切ない。
「友と共に伝令に向かう」ミッションはいつしか「友のためにも完遂させ、友のことをその兄に伝える」というミッションに変わっていた。
戦場での友情を描いた作品としても、とても素晴らしく、美しい。
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