MasaichiYaguchi

不夜城の男のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

不夜城の男(2020年製作の映画)
3.4
このクライムドラマでは夜の街で成り上がった主人公チャヌが、芸能人の薬物乱用事件を切っ掛けに裏社会や政財界の闇に巻き込まれ、「思考は現実化する」を合言葉に仲間たちと頭脳戦でサバイバルしていく様をスリリングに、ドラマチックに描いていく。
中卒で学歴も無く、客引きから江南で最大のクラブのオーナーになったチャヌは劇中で「思考は現実化する」という言葉を何度も口にし、事実、考えたことを行動に移していくのだが、この言葉は「考える脳力」と「富を得たいという願望」を持つ人を成功へと導く不滅の哲学を記したナポレオン・ヒルの自己啓発本のタイトル。
学歴は無いが読書で知識や教養を補ったチャヌは、思考が現実に影響を与えるというナポレオン・ヒルのニューソート思想のビジネスへの応用そのままに、次々と降り掛かる絶体絶命のピンチを切り抜けようとする。
本作品では韓国の政財界の癒着や、有力者の子息のスキャンダルの揉み消し等、近頃の日本のゴシップを彷彿させるような社会の闇が描かれているが、その中でも正義を貫こうとする主人公たちが自らの命を懸けて奮闘する。
主人公をアシストする仲間にはソ・イェジ演じる幅広い人脈を持つ敏腕マネージャー、ソン・ウニョンや、ベテランのキム・サンホ演じる犯罪情報課係長のパク・キホン等がいるが、多勢に無勢、力と金に物を言わせて彼らを追い込んでいく。
“9回裏2死満塁”の状況下、果たして彼らは起死回生の“ヒット”を放つことが出来るのか?
クライムドラマの韓国映画では血生臭い描写が多いが、本作ではそのような描写は殆どなく、頭脳戦に徹しているのが新鮮です。