わるた

マーティン・エデンのわるたのレビュー・感想・評価

マーティン・エデン(2019年製作の映画)
3.5
労働階級の無学な青年が
文学に出会って才能を開花させる、という展開は
ナポリとその近郊という舞台も相まって
『イル・ポスティーノ』を彷彿とさせた。
しかしこちらはだいぶ後味が苦かった。

作家を目指す動機が名家の令嬢との恋というのが
その努力を切実にも複雑にも不純にもしている。
自分を受け入れない社会への怒り。
認めさせたい、認められないというコンプレックス。
怒りはときにすさまじい原動力となるので
あの鬱屈がなければ成功に至るエネルギーは
得られなかったかもしれない。
しかし、純粋に、創作の喜びだけを追求できなかったのか。
名声を得ても一向に幸せそうに見えない、
悪態を吐き散らす男の姿に
どこでボタンを掛け違えたのか切なくなった。

ドビュッシーのパスピエが印象的だった。
ところで、オルシーニ家って、あの?
それは名家ですわ…