静かで熱い映画だ。
マーティンが自分自身の才能を信じ、エレナとの愛を信じながら、ひたむきに執筆活動を続ける姿はとても勇気づけられる。
師と仰ぐ作家との出会いや、貧しい境遇の中で生活を支えてくれるマリアとの出会いも運命的。その幸運に見ている自分も嬉しくなった。
そして、作家としての糧を得られる朗報が舞い込むシーンと、エレナとのすれ違いがエスカレートするシーンが続けて描かれる。終盤へのブリッジ。胸がざわつく。その終盤は、ある意味予想通りではあるが、成功者の苦悩が描かれる。心が痛む。
成功は幸せか。自分を貫くことは幸せか。かつて愛したエレナに浴びせた言葉が発した自分の胸に容赦なく突き刺さる。見ているこちらも辛くなった。