アネモネ

マーティン・エデンのアネモネのレビュー・感想・評価

マーティン・エデン(2019年製作の映画)
3.8
とても不思議な映画でした。
どうやら年代設定をあやふやにしているようで、だけど時代を象徴するような労働者階級の映像を差し込み、
ドキュメンタリーのようなアップの語りがあったり、きっとマーティンの思い出であろう映像が時より流れる。
イタリアの素敵な景色、映像の質感、そしてマーティンとエレナの美しさなになんともまた引きつけられて、気がつくとあっという間に時間が過ぎていました。

マーティンの素直で人たらしなところが、関わる人を惹きつけていくんだと思いました。
そしてなにより、真っ直ぐに行動するマーティンの吸収の早さは、時に映画の展開より早いんじゃないかと感じてしまうほどで。
なりたい自分を持つと、人は成長していくもの。
その一方で自分に自信も持つし、自分の発信するものを湾曲して捉えられたりもします。
マーティンはその歯痒さや今までの経験が作品へと繋がっていったのかな?
私は、エレナと言い争いになった後に自分の育った街を見せるシーンがとても印象的でした。

大切な人を失った時、そして
ラスト、見失っていたものに気付いた時、
マーティンの傷が深かったのはどちらか…。
典型的といえば簡単だけど、才能と感情が比例しなくなった時の天才の悲劇は、どんな話でも胸が苦しくなりますね。。
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