まおう

オフィサー・アンド・スパイのまおうのレビュー・感想・評価

3.5
ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞、ロマンポランスキー監督によるシオニズム運動の引き金となったフランスの冤罪事件ドレフュス事件を扱った歴史映画。
真実と公平さを求めて真犯人を探し当てたピカール中佐の視点を中心にドレフュス事件の全容を描く。

日本で暮らしていると「そういや世界史でやったな」程度の馴染みしかない事件だが、あの時代に確かにフランスにもあった理不尽で不条理なユダヤ人差別を生々しく描写し、権力と暴力で不当に押し黙らせようとするマジョリティの愚かさが浮き彫りになる。
最終的に史実として冤罪は晴れるとわかっていても、あまりの道理の無さに胸糞の悪さとぶつけようのない怒りが静かに心の中に漂う。
周りの他の軍人らが中身も外見も醜いのも相まってジャンデュジャルダン演じるピカールの高潔な佇まいが非常に美しい。
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