銀のしずく

異端の鳥の銀のしずくのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
5.0
 凄い映画。ストーリー解説だと少年が次々とひどい目に合う話と思えるが、それだけではなく善意の人も結構いる。それでも世の中は異物を排除する思想に満ちている。鳥も村人もナチスもソビエトも。そして映画の後の時代のイスラエルも、現代のあちらこちらでも。戦争の無残さを告発するものでありつつ、普遍的なものだ。
 少年の心が壊れていったという見方もあるが、私は、最後まで少年の心は壊れていないと思った。過酷な世界を生き抜くとはこういうものだし、希望を失わない少年の姿に、見終わったあと絶望的にはならず心が満たされた気持ちになった。
 何人も出てくるひと癖もふた癖もあるじいさまたちの演技が素晴らしい。
 むごい物語でも、映像はひたすら美しい。