イエールジ・コジンスキーの同名小説の映画化。
舞台は第二次世界大戦下の東ヨーロッパ。
ホロコーストから逃れる為に、田舎に疎開してきた少年の9つの章からなる逃亡と成長の物語。
冒頭で子犬を必死に助けようとしていた心優しい少年が、生きる為に忍耐と強さを身につけていく。
性善説では生きていけない(いけなかった)現実がそこにはありました。
ラストの曇った車窓に指で書いた主人公の名前に、犠牲になったユダヤ人にもひとりひとり名前があり、人生があったのだろうと思いました。
今日、子供をステイホームの息抜きに近所の公園に連れて行ったのですが、都会にある公園はコロナ禍でも(自分と同じように)多くの親子が(マスクをしている以外は)その差し迫る危機の現状を忘れるくらいみんな楽しそうに子供と遊んで賑わっていましたが、その片隅のベンチには浮浪者の方が草臥れた様子で斜めにもたれるように腰掛けていました。
誰も気にせず、近寄らず、まるで存在しないかのようでした。
その夜に本作を鑑賞して、今を生きる自分達人間も、やはり昔も今もその本質は変わらないのだろうなと思いました。