YUMI

異端の鳥のYUMIのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
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このジャケット写真は、何故か私のYouTube画面によく出て来る。
「途中退出者続出!」とか書いてあるので、どんな凄い映画かと、かなり覚悟決めて観ました。
その心構えがあったせいか、確かにエグい描写や残酷なシーンはいっぱいあったけど、正直言って、この程度で途中退出しちゃうって、普段あまり映画を観ない人なんじゃないかなと思いました。
でもま、ダメな人にとっては、冒頭のペットのイタチみたいなのを燃やされるシーンで、既にギブアップなんだろうな、とも思います。
その後も続く不快なシーンを挙げていくと、
・叔母が死んで家も消失した後、主人公を引き取った(買い取った)黒魔術婆さんかいきなり立ちション
・病気を治すためか何かしらんけと、首だけ出して土に埋められてるところをカラスにつつかれる
・流れ着いた水車小屋での猫の交尾  
・嫉妬深いオヤジのちゃぶ台返し!(これは不快というよりは、外人がやるの初めて見たので、むしろ笑ってしまったw)
・使用人の目玉をスプーンでグリグリ
・床に落ちた目玉をしゃぶる猫
・その目玉をわざわざ使用人に返しにいく主人公
・次に辿り着いた小鳥屋?のオヤジが、捕まえた小鳥に白いペンキを塗って(これが原題のpainted bird)群れに放つと、仲間たちが寄ってたかって襲いかかり、結局「異端の鳥」は落ちて死ぬ 
・村の子供と関係を持った売春婦を、女たちがリンチ。アソコにビンを突っ込んでガッシャン!
これは流石にトラウマになりそうでした
・娼婦は死に、彼女を愛していた小鳥屋のオヤジは首吊り自殺。最初は助けようとした主人公だけど、オヤジが苦しんでるのを見て、逆に「お手伝い」。
「呪怨」にこんなシーンあったなあ。

・それから森の中で出会った、前脚の折れた馬。
助けたいと思う主人公の気持ちもわかるけど、無理矢理歩かされる姿は、なんとも痛々しい。
今でもそうなのかどうか知らないけど、昔は脚を折った馬は射殺するしかないとか言いましたよね。だから、この馬も捨てられたのでしょう。
主人公は、村まで連れて行けばなんとかなると思ったのかもしれませんが、逆に村人に馬は殺されてしまう。しかも、他の馬2頭に引きずらせると言う超残酷な方法で。
ここまで書いてきて思ったんだけど、この映画、最初に出てきたイタチ?に始まって、小鳥、馬、後に出てくるヤギと、とにかく動物が残酷な形で殺されるシーンが多くて、途中退出した人たちってのは、それに耐えられなかったのかなあと思います。
だとしたら、やっぱりヤワですねえ。人間なんて、他の動物を殺して生きてるのが現実なのに。
・ドイツ軍の機嫌を取るために、村人たちに差し出される主人公。
しかし、ここにはちょっと救いがあって、一人のドイツ兵が、彼を射殺せずに逃がしてくれる。
・そのあと、心優しい司祭に救われるんだけど、司祭はどうも重病らしく、主人公の面倒は、森に住む男に託される。
ところが、この男の目的は男色。しかも相当なサディスト。
こいつを、たまた見つけたネズミの穴に誘い込んで殺すシーンは、なかなか痛快でした。
その後心優しい司祭は死に、次に来た司祭の助手みたいになるも、礼拝の際に大失態やらかして、怒った村人たちに肥溜めに投げ込まれる。
・それから雪の中でまさにユキダオレになってたところを救ってくれた、病気の父親と二人暮らしの娘。しかし父親はすぐに死に、残った娘と家畜の世話をしながら穏やかで落ち着いた生活が始まるのかと思いきや、娘は主人公を誘惑。
娘は主人公に満足出来なかったみたいだけど、主人公は結構本気で娘を好きだったみたいで、あれこれ機嫌を取ろうとするんだけど、娘の方は剣もほろほろ
・なんと娘はヤギ相手に獣姦。
・それを見せつけられた主人公は、ヤギを逆さ吊りにして首をちょん切り、娘の部屋の窓から投げ込む。
これは「ゴッドファーザー」に出てきた馬の首を思い出しました。あのシーンも私にはトラウマだ。

その後もいろいろあるんだけど、自分でも予想外に長くなっちゃったのではしょります。

その後、道を歩いてる老人を殴り殺して荷物を奪ったり(ここは「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンが子供からコインを奪うくだりを思い出しました)、ロシア軍に拾われて孤児院に入れられたりするんだけど、最終的に父親と再会。
父親の方が喜んでいたほど、少年の方は気持ちが動いていないようだったのは、自分が生きるか死ぬかの艱難辛苦を味わっていた間、アンタはなにしてたんだよ、という思いがあったのではないかと思います。
しかし、帰還のバスの中で、父親の腕にあった囚人番号の刺青を見て、父も辛い思いをしたんだと理解したのでしょうね。

まさに「家なき子・地獄編」といった物語でしたが、自らの名前を思い出したのか、あるいは父親に少し心を開いたのかもと思われるラストには救いがありました。
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