このレビューはネタバレを含みます
会長、おいたが過ぎます・・・
原作は高田郁による人気小説シリーズで、今まで2度も映像化されているので内容はざっくりと知っているという人が多いだろうと思う。
まず、これだけの人気作を三度映像化する必要があっただろうかという事について。
これは大いに意味があったと言える。
何故か。これまでのドラマ作品、そして原作の何が良かったかを思い出させてくれたからだ。
私達は澪の過ごす江戸の活気に希望を持って、地獄に送られた野江の小さな幸せを願っていた。タイムスリップしてあの街の住人になって楽しめていた。
ストーリーの改変やオリジナルキャラクターの登場などはこの低評価に一切影響していない。
全く同じものを作ってしまっては、ただのリマスター、もしくはキャストの挿げ替えにしかならない。
この映画で吐き気を催す邪悪な部分は!
LEDの行燈が安く明るく街を照らし!
江戸時代に超超超高級品のはずの石鹸が
シャボン玉という子どもの遊びに使われ!
劇的なシーンのスロー再生の音が歪み!
目線の合わないVFXの数々を!
全て最初と最後に出るフィルムフィルターをかけたカウントダウンと現像フィルムによって「あえて作り物感を出しました」と逃げている事だ。
素晴らしい原作と、演技で魅せてくれた実力派キャストによってなんとか世に出せる作品になっている。
角川三人娘(何故か2/3)の再登場を喜ぶ人も多いだろう。
もしかしたら家でポテトチップスを食べながら携帯片手に見たら及第点にすら乗っていたかもしれない。スコア3.6まで見えて来る。
しかしこれは映画だ。映画館で見る事を想定した映像作品だ。
7割BGM無しで挑んだ割に、布の擦れる音がしない立ち上がりシーンや季節感を表す虫たちの鳴き声のパターンの少なさ、
その一音一音が全て耳に届く。
1シーン1カットを観るような視聴者に向けて作られていないことは確実だ。