でしょうかな

一人っ子の国のでしょうかなのレビュー・感想・評価

一人っ子の国(2019年製作の映画)
3.7
一人っ子政策真っ只中の中国で、姉弟で生まれ育った女性が、その時代に何が起きていたのか突き止めようとするドキュメンタリー。

「私たちは"人口戦争"と戦っていたの」
国が出生の自由を取り決める脅威。中国の一党独裁体制は有名だが、改めてその強権と腐敗に驚く。プロパガンダの気味悪さ。また、中絶や不妊の強制、違反した場合の誘拐や罰金、家屋の取り壊し、あちこちに子供を捨てざるをえない酷い状況だったにもかかわらず、「政策だったから仕方ない」と口にする人々の姿が辛い。本当にそう思っていてもいなくても。中国に住む人々で政策への反感を表明したのは、人身売買業者と双子の姉を連れ去られた少女のみだ。ごみ捨て場で袋に入った胎児の遺体、市場に放置され蛆が湧く赤ん坊、金のために海外に売り飛ばされる子供、何もかも衝撃的。少子高齢化で一転して、子供二人が幸せと高らかに歌い上げる宣伝劇を見て、老人は何を思うのか。
監督が今暮らすアメリカは中絶が制限されているが、真逆のようで国が出生自体に踏み入っているのは変わらない。国益のためと言って軽率に人生を振り回す国には注意しなければならない。
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