愛とは数えることもできなければ見ることもできない。だが、唯一それを形として表すことができるのが“家族”という関係だと思う。
しかし、この世の中には完璧なモノは存在しない。それが人ならば尚更だ。
家族とはあたりまえの存在だと思っていても所詮いち人との繋がりである。
ある情熱的な愛はいつの日か冷めていき一つの愛が形成されていく。そこで初めてわかることもあるのかもしれない。互いを心の底から愛していても気づかないズレや相手への期待、エゴ、意思などがだんだん気になるモノへと変わっていき、ついにはそれは愛では覆えなくなってしまうものになるだろうか、、つまり、相手を尊重していたつもりでもそれが“つもり”どまりでどんどん相手との溝が深まり、ある日気づき決断するのである。
別れる時が来たと。
それは悲しいが不思議なことではない。
実際、この世の中で情熱的な愛を交わしたにも関わらず別れるカップルなんて無限にいる。
そんなこの世の中での人間同士が起こす一つの問題をあえて表現すると極限までリアルな目線まで落として描いたような作品。
この作品の魅力は、、、
離婚した元夫婦の関係性を描く作品はいくらでもある、しかしこれほどカチカチ時計の針が鳴る音が聞こえるほど距離が近く、リアルに感じられる作品はなかなかないだろう。
物語の構成が特に素晴らしい!
最初は円満に、“どんな夫婦でも一度は愛した仲、互いに好きだったところをお話ししましょう”→“あいつはある中だ!いや不倫男でクソ野郎!”と裁判で罵る、、というふうに展開が進んでいくにつれて知る“離婚”するということを現実的に突きつけるように、浮かび上がる感情。それらを手に取るように段階的に表現されているのである。
このように彼ら夫婦のように現実で考えうるリアルな感情の全てがうまく反映されているのだ。それは互いの葛藤、不満、これからの生活、息子の親権、愛し合った過去の思い出、、それら全てが段階を踏んで溢れ出てくるのである。
それは展開や脚本だけで伝わるモノではなくキャストのあまりにもリアルな存在のおかげでもある。
あの、感情やその時の心理状況によって変化するリアルな絶妙の間
それはもはや確かに彼らは離婚しようとしている夫婦そのままの姿であった。
分かりやすい表現も🙆♂️
離婚裁判も激しくなってきたある日の夜、家の門が閉まらないと妻は夫を呼び、二人で手で押しながらその門を閉める。
ただ、その門を閉める時の構図がお互い門の内側と外側に居て、門が閉まった時
彼らの関係性も完全に閉まってしまった
という絵としての表現がされているのだが
genius!と思った。
とにかく、
愛し合った二人が行き着く悲しい結末、
“離婚する夫婦”の“ある行先”という興味深くもかなり繊細な題材をこれほど息を吹き込むようにリアルに観れる映画は他にないだろう。