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マリッジ・ストーリーのJのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
4.0
現代の離婚のバイブルであり、結婚のバイブルである

舞台監督で脚本家の夫チャーリーと女優の妻ニコールは共に劇団のメンバーとして息子ヘンリーと家族3人でNYに暮らしていた。次第に気持ちがすれ違うようになった2人は息子の為にも円満な離婚をしようと約束する。しかし、互いに溜め込んでいた想いが溢れてしまい円満とは真逆の方向へ…


この作品で素晴らしいと思ったのが男女のパワーバランスの描き方。やい男尊女卑だの女尊男卑だの…毎日のようにSNSで怒鳴りあっている今のご時世に女性と男性の離婚劇を描くのは非常に難しいものだと思います。どっちかに視点が偏ってしまえばすぐに反感を買いますから…(苦笑)

でも本作は妻のニコールと夫のチャーリーの両者にリスペクトを持って描かれていたなと感じました。
オープニングでのお互いがお互いを褒め合うシーンなどは特に分かりやすいでしょう。
あのオープニングは本作でも1、2を争うくらいに大好きなシーンです♪
"好き"や"愛してる"ではなくお互いに"尊敬する"という感情がパートナーに対して抱けるということは素晴らしいことだなと気付かされました♪
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仕事で成功するも息子との距離が離れてしまったチャーリー。

息子と良好な関係を築くも仕事に未練を残しているニコール。

結婚生活はチャーリーが主導権を握っていたものの、離婚手続きはニコールが主導権を握っていたり…

冒頭の互いに褒め合うシーン、終盤の罵り合うシーン…


などなど、対比の表現を描くことで2人の存在感や違いがすごく際立っていたし、それが全く嫌味に感じませんでした。むしろ互いが不完全な存在であることを偏ることなく表現していたと思います。
そんな2人の人間らしさ(不完全さ)を観ていると、お互いがお互いを必要とする一方で、お互いの存在が障害になっていることが分かる。2人が結婚することを選び、そして同じように離婚を選んだ理由がなんとなく分かったような気がします。

自分とパートナーの関係性を改めて深く考えることのできる作品だと感じました。
(パートナーいる人に限る😢)

あと35mmフィルムで撮影された映像が光が柔らかくてすごく綺麗ですよ❗️
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