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マリッジ・ストーリーのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
4.9
『 はっぴいえんど 』

「35」と言うと、そのうしろに思わず“億”を付けたくなったりもしますが、そこに“%”を付けた数字、それが我が国の直近の離婚率だそうです。ボクもそうだった様に、結ばれる多くの人達が始めに永遠(とわ)の愛を誓ったはず。しかし、現実としてその三分の一以上の多くの夫婦はその愛を果たせずに終わるそうです。

「離婚はバッドエンドなのか?」

離婚という言葉から連想されるイメージとして、そこにポジティブなものを感じる方はまあいないでしょう。事実、ボクも前の職場の離婚経験のある上司から、「絶対に離婚しない方がいい!」「仕事において、離婚はマイナスになる事ばかりでプラスになる事はひとつもないぞ!」と言われました。ただ、後日私達の式でその“離婚した”上司から祝辞をいただきましたがw...😅

さて、この『マリッジ・ストーリー』。
NETFLIXでの配信前から大変な評判で、ここのところフィルマークスでのトレンドでもずぅ~っと上位。今現在も『アナ雪』を抑えて、堂々のトレンド一位に君臨している様です。それにしてもNETFLIXの力の入れようは凄いですね!『アイリッシュマン』で話題をさらったかと思ったら、その約1週間後にこの話題作を独占配信!そして、今週の金曜日には“あの”マイケル・ベイ監督の最新作を独占配信するんですから!入らずにはいられない理由が、よく分かった気が致します。

映画に“夫婦もの”ってジャンルがあるかどうか分かりませんが、結婚の頃合いを描いた映画は数あれど、離婚の頃合いを描いたものっていうと『クレイマー、クレイマー』位しか思い当たりません。ちなみに『ブルーバレンタイン』はこわくていまだに観れてません💦 この映画も、観るのが少しこわかったのですが、意を決して観てみました❕

そしたら、実に素晴らしかったです❗️😃
ただ、観ていて色々と辛い映画である事は間違いないです。でも、離婚が単なるバッドエンドではないという事、愛には様々な形があるという事、夫婦とはどういう関係であるのか?を考えさせられる、現在進行形で“夫婦してる”私には、色々と「沁みる」映画でした。

「今がいつであるか?」を極力説明を排し自然と分からせる演出。そして、夫婦それぞれの心の機微をしっかりとカメラで捉える監督の手腕。でも、それより何より主演ふたりの熱のこもった演技から目が離せなくなりました。ここのところ“一般人”でないふたりばっかり観てたせいもあるかもしれませんが、沸騰に向かう湯の如く抑えていたものが噴出するハイライトでは、観ているこちらも感情が押さえられなくなり、思わず涙しました😢

我が家に関して言えば、年々夫婦喧嘩をしなくなってきたなと思います。ただ、それは自然な流れの様でありながら、でも言葉に出さない裏側でお互いの地雷を踏まない様になってきた、夫婦の歴史の一端でもあると思っています。だからこそ、あの場面は観ていて本当に心が痛かったですし、絶対に言って(行って)はいけないところまで言って(行って)しまったあとの、ふたりの様子はさらにせつなかった😢

あと、調停のシーンも印象的でしたね。お互いに望んでいなかったはずなのに、現実はどんどんその望んでいなかった方向に進みゆく。一番分かりあえてたはずの自分たちの事を、他人に“盛って”語られる辛さ。「こんな顛末は絶対にイヤだ」と思い知らされる、離婚防止の啓発として観たら、最高に“効き目のある”場面だと思いました。

そのふたりとは裏腹に、露(あらわ)にならないのが息子の感情です。しかし、それはこの映画にとってマイナスにはなっていません。むしろその事が示す通り、あくまでこの映画は最後までふたりを双方から捉え続けます。そしてそれにより公平に、それぞれの立場に寄り添い、結婚におけるひとつのエンディングのあり方をリアルに描いた、まさに傑作であると思いました🐼
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