本作はノア･バームバック監督がジェニファー･ジェイソン･リーとの離婚の経験をもとに撮ったそうです。
主演のスカーレット･ヨハンセンもライアン･レイノルズと離婚してますし、映画としては作り易かったでしょうね。
またアダム･ドライバー演じる夫チャーリーは劇団の代表かつ演出家。スカーレット･ヨハンセンは舞台女優という設定です。
このようなところからも監督が舞台のような見せ方をした意図が感じられました。特にニコールのLAの実家で母と姉の3人で、チャーリーに離婚届けの書類を渡そうとするドタバタコメディはまさにといったところ。
個人的に驚いたのがチャーリーが恩恵にあずかった助成金の額です。日本なら100~200万円といったところなのに、65万ドルとは。アメリカにおける芸術への手厚い支援がうかがえます。
にもかかわらず、裁判の弁護士の費用で破産してしまうと言っていたチャーリー。いったいどれだけの金額が消えていくんでしょうね。恐ろしい。 (笑)
本作はどうやらゴールデングローブ賞の作品賞、主演男優、主演女優など6部門にノミネートされているようですが。『アイリッシュマン』も同じような状況みたいで、Netflixの攻勢は凄まじい勢いですね。勝手なことを言うと、両作品ともいかにもって気がします。
離婚（あるいは結婚）をテーマにしながらも、辛辣にならず笑いの要素を盛り込んだところは良かったですし、両主演の演技は素晴らしかったですが。
大人の都合により、一番の犠牲になってしまう息子ヘンリーの、最も尊重すべき大事な気持ちがあまり描写されず、少しないがしろにされている点が残念でした。
